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2023.08.21

NASDAQ上場のために整備すべき社内体制

#ブログ

近年、NASDAQに直接上場する日本企業が増えています。
その背景にはアメリカならではのスタートアップ、ベンチャー企業に対する投資熱と理解があり、資金を調達しやすいという状況があるようです。

しかし、いざNASDAQに上場をしたいと思っても、やはり上場するための基準を満たさなければなりません。
このようにいうと、ハードルが高いと感じられるかもしれませんが、実は日本の株式市場に上場するよりもNASDAQに上場するための準備期間は短くて済みます。

なぜなら、日本の上場審査の基準には、売上高や純資産額といった「形式基準」のほか、収益性、継続性、健全性などが審査される「実質基準」を満たす必要があるからです。
日本で上場する場合「実質基準」を満たすためにはどうしても数年の期間が必要になってしまうのです。

その点、NASDAQは一定の要件を満たせば実質基準の緩和措置があったりします。
しかしながら、NASDAQに上場するためには、最低限整えておかなければいけない体制があります。

今回の記事では、NASDAQに上場するために整備すべき社内の体制、いわゆるコーポレートガバナンスの仕組みについて解説をします。
上場を考えている企業だけではなく、海外の投資家が会社の体制のどこを重要視しているのかもよくわかるので、ぜひ最後までお読みください。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスとは日本語で「企業統治」といいます。
企業が健全な事業、経営を行うために整備すべき仕組み、体制のことです。

企業での不正や不祥事を未然に防いだり、公正な判断や運営が行えるように経営陣を監視したり、統制したりする仕組みのことを言います。
NASDQでは、コーポレートガバナンスがしっかりとできているか、企業の仕組みについても基準を設けています。

以下の基準がしっかりと満たされているかを確認し、満たされていなければ条件にあうような体制を整えるようにしましょう。

年次報告書または中間報告書の公開

NASDAQに上場する企業は年次報告書と中間報告書を株主に対して公開する必要があります。
公開の手段は、株主に報告書を郵送しても構いませんし、会社のウェブサイトなどに公開しても構いません。

会社の業績がどうだったのか、どうあるのかをしっかりと第三者に可視化できる仕組みを整える必要があります。

役員

NASDAQに上場する企業の役員の過半数は企業の内部者から一定の独立性を有している社外取締役でなければいけません。
社員だけで役員が構成されている場合はNASDAQ上場の基準を満たしていないので、見直す必要があります。

監査委員会

NASDAQに上場する企業は、企業の内部者から一定の独立性を有している社外取締役をメンバーとした監査委員会を設置しなければいけません。
監査委員会は最低でも3人で構成されている必要があり、そのうちのひとりは会計に詳しい経験者か、または専門家である必要があります。

執行役員の報酬

NASDAQに上場する企業は、独立性のある社外取締役2人以上をメンバーとした報酬委員会を設置することが義務付けられています。
報酬委員会は、最高経営責任者を含む、すべての執行役員の報酬を決定したり、取締役会全員に報酬額を勧告する役割を担います。

取締役の指名

取締役は、独立性を有する取締役会のメンバーによって、選択または推薦される必要があります。

取締役会の多様性

NASDAQに上場する企業は、取締役会に少なくとも2人の多様性を有するメンバーを含まなければいけません。
もしも、メンバーの中にそのような取締役がいない場合は、なぜいないのかを説明する義務があります。

多様性を有する取締役とは以下の2つの条件にあった取締役のことを言います。
1) 女性であると自認する取締役
2) 少数派またはLGBTQ+であると自認する取締役

行動規範

NASDAQに上場する企業は、すべての取締役、役員、従業員に遵守させるべき行動規範を整える必要があります。

年次総会

NASDAQに上場する企業は、会計年度終了後1年以内に年次株主総会を開催しなければいけません。

委任状の依頼

NASDAQに上場する企業は、株主総会を行う際に、すべての株主に対して委任状を求めなければいけません。

株主総会の定足数

NASDAQに上場する企業が株主総会を行う際は、株主が保有する議決権の3分の1以上が集まらなければ総会は開催できません。

利益相反

NASDAQに上場する企業は、利益相反の可能性がある取引について、全ての当事者を対象とした調査と監視を実施する義務があります。

株主の承認

NASDAQに上場する企業は、以下の有価証券を発行する際には、事前に株主から承認を得なければいけません。

1) 他の企業の株式または資産の特定の買収
2) 株式に基づく役員、取締役、従業員またはコンサルタントの報酬
3) 支配権の変更
4) 最低価格を下回る価格での有価証券発行

議決権

NASDAQに上場する企業は、事業または株式発行により、既存株主の議決権を不当に削減または制限してはいけません。

まとめ

NASDQに上場するからには、企業内部の規則もしっかりと整っていないと難しいということがわかりました。
比較的上場の条件が緩やかなNASDAQでさえ、コーポレートガバナンスについてはしっかりとした基準を決めています。

そのため、この基準が海外投資家から資金を集めるための最低ラインと考えても良いかもしれません。
海外で上場する、しないにかかわらず、コーポレートガバナンスはサービスを提供するお客様や資金提供を考えている株主にとっては最低限整備しておいて欲しい体制なのでしょう。

逆に言えば、これらの体制を整えておけば優良企業と判断される可能性も高まります。
NASDAQに上場するのであれば、もちろんのこと、そうでなくても企業の健全性を保つという意味で、今回解説させていただいたコーポレートガバナンスの仕組みを整えてみてはいかがでしょうか。