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2024.05.02
展示物のタイトルや解説文の翻訳を発注する際の注意点
#ブログ
翻訳の仕事をしていると博物館などの展示タイトルや展示物の解説文のお仕事をいただくこともあります。
多くの場合、展示タイトルや解説文のテキストだけが送られてきて、それを訳すという仕事内容です。
しかし、勉強のために博物館などに出かけると結構ひどい翻訳を見かけます。
その時に「翻訳をした人はこの博物館が伝えたいことをわかっているだろうか?」という疑問が浮かびます。
今回は博物館などの展示タイトルや解説文の翻訳が難しい理由と、失敗しないための注意点をお伝えします。
翻訳してほしいテキストだけを翻訳者に送らないこと
展示物のタイトルや展示物の解説だけを翻訳者に送っても、展示物全体を通したストーリーや、展示を通して博物館が伝えたいメッセージがわからない場合があります。
ですので、企画展の場合は企画書、常設展示であれば展示物の配置図、解説タイトルや解説文が掲示される場所がわかる写真、博物館の設立趣意書なども一緒に送ると良いでしょう。
また、どれくらいの年齢層の方々が多く来館されるのかも翻訳者にとっては重要な情報です。
展示物をすべて順路通りに見てもらうこと
可能であれば実物の展示物を順路通りに見てもらうことをおすすめします。
博物館の雰囲気によっては使用する語彙が異なる場合もあります。
明るい雰囲気なのか、シリアスなちょっと重たい雰囲気のある博物館なのかは実際に館に出かけてみないとわかりません。
もしも、翻訳者が遠方に住んでいる場合はオンラインツアーなどを行うことも1つの方法です。
解説タイトルや解説文に主語を補足すること
解説タイトルや解説文には主語を補足するようにしましょう。
日本語の展示タイトルには主語がない場合が多いです。
たとえば、以下のような文です。
・ きれいになった街
・ きれいな街をとりもどす
以上の文は主語がすべて曖昧なので訳しにくく、ちょっと間違えたら発注者のイメージとは違う翻訳文になってしまいます。
たとえば、「きれいになった街」を「The city became beautiful」と訳すと街が自然と美しくなった印象を与えてしまいます。
しかし、伝えたいメッセージが「市民の努力によって街がきれいになった」ということであれば「The city became beautiful」という訳だけでは不十分ですよね。
「きれいな街をとりもどす」という文も一体誰が、きれいな街をとりもどそうとしているのかで翻訳文は変わってきます。
このような理由から、展示タイトルや解説文には主語を補足するようにしましょう。
まとめ
今回は博物館などの展示物のタイトルや解説文の翻訳を発注する際の注意点を紹介しました。
大きなところでは以下の3点でした。
1) 翻訳してほしいテキストだけを翻訳者に送らないこと
2) 展示物をすべて順路通りに見てもらうこと
3) 解説タイトルや解説文に主語を補足すること
しかし、博物館によってはもっと細かい部分も翻訳者に気にして欲しい場合もあるかと思います。
ですので、翻訳を発注する際はできる限り博物館そのもののことを知ってもらえる情報も一緒に提供するようにしましょう。
まだ、どのような情報を提供したら良いかわからないという方は弊社に気軽にご相談ください。